八雲の国から末広がり

旧八祐会ブログ

再婚はしませんので

「再婚」を促す人がいる。まだ1年間ちょっとしか経っていないのに、数人に言われた。私がまだ若いせいなのか知らないが、非常に対応に困る。なのでここで宣言しておく。「再婚はしませんので」と。

なぜ困るかというと、それを「善意」で言ってくるから無下にできない。しかもそうすべきと信じきって推してくるからなおさら困る。「男の独りは惨め」という思い込みから始まり、「独りでいるよりもその方が幸せ」という推しつけになり、しまいには「天国の奥さんがいい人を探してきてくれる」などとトンデモなことまで言い出す始末。こちらとしてはいくらはらわたが煮えくりかえっても作り笑顔で対応しなくてはならず、ほんと、辛い。

死別後でも再婚したい人というのは、お世話せずとも勝手にするのでご心配なく。私個人としては死別後に再婚する人の気持ちは全く理解できないが、それぞれいろんな事情があるので侮辱せずに尊重している。

やもめに限らず、残りの人生を独りで生きていく人は今後益々増えていくことは確実で、そういった人らが生きていきやすい環境がすでに構築されている。独り暮らしは決して惨めではない。20年後にはマジョリティだろう。

寂しさというのは不安からくるわけで、不安が薄まれば寂しさも薄まる。ゆえに再婚を促すということは「再婚しないと苦しむぞ」と不安を与えているのだと理解してほしい。それに再婚したからといって不安が解消されるわけではないということも。

死別は離婚とは違う。まだ愛は継続中、いやむしろ高まっている。そこに無礼な話を持ち込んでいるわけで、たとえていうなら新婚さんに不倫を促すようなもんである。「新婚おめでとう。でもこっちの女のほうが良かったんじゃね?」と。そう考えていただければ、天国の妻が新たに女をあてがうなんてことがどんなにトンデモなことか理解できるだろう。どこの世界にだんなの不倫相手を自ら連れてくる奥さんがいるのかと。いくら死んじゃったからって彼女の存在(プライド)まで亡きものとしないでいただきたい。私たちの絆は永遠に断ち切れないのだから。

魂を清潔に気高くさせるのが気学であるのだから、良かれと思って足を引っ張る行為というのは、これに限らず皆さん気をつけましょう。