八雲の国から末広がり

旧八祐会ブログ

金持ちケンカせず

「ファーストクラス」

「スイートルーム」

こういった業界の裏側やプライバシーを露呈させるといった「暴露本(一応はビジネス書?)」は、まったくもって下品である。そして下品ゆえに興味をそそられてつい読んでしまう。私もたいがい下品だ。で、読んだ感想はやっぱり下品な本だった。そして勉強になった。 

これらの本に共通していることが、お金や地位や名声がある方々、いわゆる「セレブ」とよばれる方々への賛美だが、その中で私がおもしろいと思った点は、セレブの方々の心理状況だ。それを読みとれたことが何よりの収穫だった。

 

セレブの行く先々には下品な人間が数多くいる。

有名人が来店してそれをツイッターで流してフルボッコの従業員と、これら本の筆者たちに私は違いを感じない。どんだけ一流のところに勤めてようが、暴露の方法に気をつけてようが、下品だ。むしろツイッターでアホなことをつぶやくよりも、自分らの経歴を鼻にかける分だけ痛いと感じる。そしてセレブたちは、どこに行くにもこうした下品に対処せねばならない。

 

セレブは「期待していない」。

 

誰にも何にも期待をしていないから、どんな状況でも冷静でいられ、どんなにひどい目に遭っても、(つくり)笑顔で対応してくれる。期待していないから、ちゃんとミッションをこなしてくれたら大仰に驚いたり喜んだりしてくれるのだろう。

うらを返せば、「とても見下している」ということだ。

それを知ってか知らずか、こうしてドヤ顔で「セレブにお仕えしました自慢」をして、なおかつ「やっぱさすがよね!」と言って本まで出すというのは、なんともまあ下品というか、それを通り越して可愛いとすら思える。

 

こういったセレブ相手ばかりしている接客係は、得てして私のような庶民には「慇懃無礼」な対応をとる。

成り上がった人は、庶民だった時に受けたその屈辱を忘れてはいない。だからこそ、今度はセレブと呼ばれる自分が慇懃無礼に応対する。そしてそれを有り難がっている者らを冷淡に分析して仕分けしている。因果応報ってやつか。

 

庶民の何倍もの大金をはたいてなお、いちいち愛想をふりまかなければならない有名人たちに心から同情し、お金持ちって大変ねと再認識するのが、こういった暴露本の楽しみ方と思う。