八雲の国から末広がり

旧八祐会ブログ

自動車教習所

大倉眞一郎さんのブログで「自動車教習所」についての記事を読み、ふと、自分の時のことを思い出しました。

 

私が免許を取ったのは19歳の時。

当時は確か、実技は27時間だったかな。それを追加することなく合格できるよう、ナーバスになりながら通っていた覚えがあります。

ハンコがもらえず追加になると、お金がかかるのもあるが、「ヘタクソ」の烙印もついてまわり、私はそっちの方が嫌でした。

 

車の運転の上手い下手は、当時の男の子にとってはアイデンティティを揺るがす大問題で、エッチが下手くそと並んでとても屈辱的なこと。エッチの上手い下手は男同士では評価のしようがありませんが、運転に関しては男同士でも評価しあえてしまうのでごまかせず、しかもハンコという第三者の公平な評価は一生ついてまわる一大事。なので毎時間、無言の圧力で「ハンコくれよ!」という念を送って挑みました。※

 

教習所の教官は、大きく分けて2種類で、古株のおっさん&爺さんと、若手メンバーの2種類。まだ少なかったが女性教官は若手メンバーに分類されます。

この古株と若手の違い、たんに年齢で分かれているわけではありません。

古株→むかつく。クソじじい。〇ね!

若手→いいかんじ♪

に分かれています。

古株の方ですが、口うるさくても適切な指導であれば納得します(私も体育会系なので)。が、指導は適当、なのにガミガミ言ったり、嫌みたっぷりだったりと、いわゆるパワハラ。クズな大人の代表みたいなのが勢揃いしていました。

一方若手は、無愛想な人もいたが、指導は適切。なかには元テストドライバーだった人もいて、明るくてなおかつ指導が超上手と、いま思いだしても大人の鏡な人とかも。

当然に若手教官だとラッキー、古株だとアンラッキーとなります。

 

さて、その日はアンラッキーデイ。古株の教官です。年は40代後半から50代くらいでしょうか。強いものには媚を売るような三下タイプ。立場を利用して偉そうです。そんな相手に愛想よく立ち振る舞えるほど人間できていないので(今でもだが)、私も自然と無愛想になる。

で、その日の教習が終了。ハンコの時間ですが、そのじじい、ハンコくれませんでした。自分としては致命的なミスはしていないつもりでしたが。なんかぶつぶつ不可の理由を言っています。で、結局のところ「気合いが足りない」との理由で不可でした。はあ?

でもその時は、大人の理不尽さに憤るよりも、ハンコが貰えなかった事の方がショックでした。

 

次の教習。今度は若い人です。でも無愛想な雰囲気。またアンラッキーデイかと肩を落とす。教習に関する指示以外は一切しゃべらない教官。沈黙が続きます。

ふいに運転しながら問題を出題される。でも答えられない。あーあ、またハンコ貰えないなと思いつつも、知らないものは知らないので「分かりません」と答える。すると教官は「なんで分からないの?前回の教習で教わったでしょ?」と詰め寄る。急にしゃべりだしたぞこいつと思いつつ、「いいえ、初めて聞きました」と。教官は「そんなはずはない」といい、バインダーに目をおとす。前回の教官が誰だったのかを確認すると、「ああ…」と一言。ああ…のあとに続くのは「こいつか」ってこと?「このクズなら仕方ない」ってこと?なんかしらんが追い風キター!?という高揚感を抑えつつも、その時の私の顔は相当にニヤニヤしていたと思う(・∀・)v

その後、教官は相変わらず無口だったが、教習は滞りなく無事に終了。今日はハンコ貰えると確信があった。すると教官、多くは語らなかったが、ハンコを2コ、ポンポンとつく。どうやら今日は、前回の復習だけでなく、その次のことも教えてくれてたみたい。ニヤニヤが止まらない。最初にアンラッキーと疑ってすんません。あなたは良い大人です。クソな古株を追い出して良い教習所にして下さい。頑張って下さい。そういう想いを込めながら「ありがとうございました」と、少しうわずった声で挨拶をして車を降りました。

前回のハンコ無しがこれでちゃらになり、安堵感と高揚感に包まれる。それと同時に、前回の教習に対する憤りが湧き上がった。大人になったら、今日みたいな人になろう。決して三下のクズにだけはなるまいと誓った19の秋でした。

 

ちなみに、教習は27時間きっかりで追加なし。各種試験も1回で合格。

形式上は、運転下手のレッテルを貼られずに済みました。

 

しかし、免許所得後、運転初日にサイドミラーを壊したり、その後もあっちこっち擦ったりと、私の運転はいまでも上手ではありません。とほほ。

そんな私でも海外で運転できますので、皆さんどうぞ、旅先では是非レンタカーを♪

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※実際は、ハンコの量(追加教習の有無)は、運転の上手い下手はあまり関係ないです。

私の大学近くの教習所は、どこよりも基本料金が安く、クラスメイトの多くはそこに通っていました。私は学校に毎日行くタイプではなかったので地元の教習所に通う。

その大学近くの教習所では、基本料金の差額を追加で埋め合わせる所らしく、みんな10時間追加とかざらで、誰一人として追加なしでは卒業していなかった。

私の通った教習所ではそんなに多い追加時間はありえない。卒業試験の挑戦が2度目の人と一緒になったことがあったが、一目でこの人は運転に向いていないと分かるほど超絶下手くそな人でも、追加は5時間程度だった。

サギのようなぼったくり教習所があるということ知り、世の中汚ねえなと、またひとつ大人になった19の冬。