八雲の国から末広がり

旧八祐会ブログ

北風と太陽

「体罰」についての話題が多くみられますので、今日はその話題を取り上げます。

先ず、先日に起きたバスケ部での事件ですが、分けて考えなければいけないのが、スポーツ指導の現場での体罰と、金八先生風の不良少年に対する体罰です。色んな意見をみていますと、これが混同されているように思います。今回、私が言及するのはスポーツ現場における体罰についてで、この事件も被害者は不良生徒でなく優等生です。

 

当たり前ですが、選手をぶん殴っても強くなりません。言葉による恫喝も同様です。

いま、日本の女子バレーが再び世界のトップレベルで活躍しておりますが、これは恫喝による指導が減ったおかげだと思います。現監督の眞鍋さん、前監督の柳本さんは、テレビ画面でみる限りでは暴力や恫喝をしている姿をみません。一方、柳本さんの前の前の監督はwikiでは「ニッポンの怒る人」と命名されており、その頃の日本女子バレーは低迷期で、初めてオリンピック出場を逃しました。

件の高校、ホームページで戦歴をみましたが、たいして強くないですね。そして日本のバスケットボールは、1976年のモントリオール五輪出場を最後に世界規模の大会への出場から遠ざかっているようですね。

 

ぎゃーぎゃーぴーぴー怒鳴っている指導者は、私は大嫌いです。

私が水泳選手だった頃は、まだ暴力による威圧的な指導法が残ってた時代でした。そしてその頃の水泳界は低迷期でした。その頃の不幸は、そういった指導者の方がより良い練習メニューを作る傾向にあり、チームとしても強かったことです。良く言えば熱血タイプで、熱い思いが練習メニューに反映してました。暴力的な指導者の方が才能があったという不幸な時代です。

しかしその後、水泳のコーチはインテリが主流となりました。そして暴力や恫喝をしない才能ある指導者が増え、オリンピックでメダルを量産するまでに到りました。

 

スポーツは勝敗が明確です。今は暴力指導では勝てないことが証明されています。

かつて「エンジョイ」という言葉を連呼して叩かれた選手がいましたが、今はもう時代が変わり、勝つためには「楽しむ」ことが必要であるのが常識となりました。だから暴力を振るうだなんてもってのほかです。が、どの世界にも無能な人間はいます。

無能な指導者は、子供たちをぶん殴ることが楽しいんでしょうね。そしてそれを肯定する人たちも暴力が楽しいんでしょうね。ゆがんだ形のエンジョイが、今回の事件の真相なのでしょう。

くり返しますが、勝利に暴力は不必要です。

 

こういった構造は、ブラック企業といわれるところでもみられます。かつての日本軍のごとく、勝つことよりも「しごき」を優先させる風潮。いまだそんなことしてるから、日本はいつまで経っても貧乏なんです。

いかにすれば働くことをエンジョイできるか。そこがクリアされれば、必ずや不況から脱出できるでしょう。

 

今回の事件は、色んな分野で共通する「失敗の構造」を明らかにしたと思います。

暴力指導者やブラック経営者の諸君は、「北風と太陽」の童話を何千回と繰り返し読め。