八雲の国から末広がり

旧八祐会ブログ

14年前の大寒に

今日は結婚記念日。亡くなった者の誕生日を数えるのと同じく、戸籍上は独身となってしまった今では、この日も、何の意味もなくなってしまった。

しかし、14年前のことは今でも憶えている。紙きれ1枚のこと、単なる事務的な手続きだけだが、澄み渡る冬空の清々しさと大寒の冷気が心身を引き締め、大人として、一家の主としての責任感を強く意識させられたことは、今でもはっきりと憶えている。

私が彼女を幸せにしてあげなければならない。

良い意味でのプレッシャーと自分への期待感に溢れた日だった。

 

「結婚」というのは、悪くないと思う。チャンスがあるなら、した方が良いと思う。

紙きれ1枚のことだが、けっこう重いことだし、だからこそ軽くなる物事も多い。独身時代の恋人同士の関係とは違う。うまく説明するのが難しいが、自分以外の人間の幸せを背負うことは(良い意味で)重いことだが、社会的立場としては独身よりも既婚者の方が楽になれる(たとえその後に離婚しても)。特に私の妻は、親がいない立場だったからずいぶんと存在を軽んじられたが、それが結婚したとたんに周囲の態度がコロっと変わって呆れていた。私自身はそういうのに鈍感だったから分からないが、本人がそれで楽になったのならば、それだけでも結婚した甲斐があった。

 

そして今現在は私ひとり残されたわけだが、そうなってあらためて、紙きれ1枚の重さ、ありがたさを実感している。

14年前のたんなる事務的な手続きのおかげで、この先もずっと彼女を「妻」と呼び続けることができる。

父親という立場になれなかったことは、別にどうでもいい。コゼットはいらない。でも「夫」という立場になれたことは、ほんとうに良かった。感謝している。

その感謝を思い出すために、来年も引き続き、15周年を祝いたい。