2年前は雪柄のネクタイで臨んだ
私らに現存する唯一の記念日、命日。この日だけは毎年ひとつずつ更新されていく。
丸2年。昔はゼロの概念がなかったので3回忌。
せっかくの記念日なんだから、辛気臭い服など着ずに華やかな衣装で送りたい。
2年前もそう思って喪服を着るのはやめようと思ったが、それしか着れる服がなかった。精一杯の抵抗で、シャツとネクタイだけは明るい色のを選んだ。真っ黒なネクタイなんか絶対に締めない。それが私の精一杯の強がりだった。
2年前はシャネル、昨年はエルメスのネクタイを締めた。
今年はヴィトンにした。
毎年この時期に1本ずつ、ネクタイを買う習慣がついちゃった。
さて、雪か。
告別式の日も雪だった。
雪は縁起が良い。雨とは違う。涙の別れではない。
でも本当は涙雨の気分なのに、精一杯の意地で雪にしている気がする。
彼女が強がっている姿が目に浮かぶ。
雪が降るたびに2年前のことを思い出すが、今日も雪とは。
お互い、あいかわらず強がってますね。