八雲の国から末広がり

旧八祐会ブログ

終活

今日は暑かった。もう10月だというのに、子供の頃の夏休みのような陽気だった。

そこに金子哲雄さんの人柄を重ね合わせて空を見上げた。

秋の雲と夏の雲があわさったような空だった。

 

告別式の日の天気は、旅立つその人の想いを表している。

金子さんは、自分の葬儀内容を8月の時点ですでに決めていたそうで、その時の夏の名残りが今日の陽気に表れたのかな。それとも子供のように無邪気なあの笑顔を表す陽気だったのかな。

墓標をスカイツリーでなく、あえて東京タワーにするところも、昭和生まれの本人のこだわりなのかな。それとも、高度経済成長の象徴だった東京タワーに、これからの日本の再生を、好景気をもう一度という、流通ジャーナリストとしての想いを託したのかな。

 

それにしても、あの参列者へのお礼状には、心底やられた。

訃報を聞いた時は、ただただ残念なだけだったが、いまは「すごい」の一言に尽きる。

喪主を経験した人なら分かると思うが、お葬式という一大イベントは、とても準備が大変なのである。おそらく金子さんは、心痛の奥さまに少しでも楽をさせてあげようという優しさから、そして参列者への心くばりから、今際の際で準備なさったんだと思う。

 

この金子さんの最後の一大イベントが、「終活」というトレンドを大流行させることとなるだろう。きっと数十年後には「金子哲雄=終活の父」と呼ばれてるに違いない。

金子さん、天晴れでした。

 

《金子さんの会葬礼状》

このたびは、お忙しい中、私、金子哲雄の葬儀にご列席たまわり、ありがとうございました。今回、41歳で人生における早期リタイア制度を利用させていただいたことに対し、感謝申し上げると同時に、
現在、お仕事などにて、お世話になっている関係者のみなさまに、ご迷惑おかけしましたこと、心よりおわび申し上げます。申し訳ございません。

もちろん、早期リタイアしたからといって、ゆっくりと休むつもりは毛頭ございません!第二の現場では、全国どこでも、すぐに行くことができる「魔法のドア」があるとうかがっております。
そこで、札幌、東京、名古屋、大阪、松山、福岡など、お世話になったみなさまがいらっしゃる地域におじゃまし、心あたたまるハッピーな話題、おトクなネタを探して、歩き回り、情報発信を継続したい所存です。
今回、ご縁がありまして東京タワーの足元、心光院さまが次の拠点となりました。
「何か、面白いネタがないかな?」と思われましたら、チャンネルや周波数を東京タワー方面に合わせ、金子の姿を思い出していただけましたら幸いです。

このたび、葬儀を執り行うにあたりまして葬儀社のセレモニーみやざき 宮崎美津子さまには生前より真摯(しんし)に相談にのって頂きました。
また、自分の歩んできた道とゆかりのある港区東麻布を終(つい)の住処とすることをお許しいただきました、
浄土宗 心光院 御住職 戸松義晴先生には公私にわたり、死生観などのアドバイスをちょうだいしました。
この場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。
最後になりますが、本日、ご列席下さいました、みなさまのご健康とご多幸を心よりお祈りしております。41年間、お世話になり、ありがとうございました。
急ぎ、書面にて御礼まで。