もうすぐお正月なので
どこか遠くへ逃げたい。
クリスマスよりもお正月の方がつらい。去年はそう予想してチケットの手配をしていた。けれども年末年始のチケットはそう簡単には手に入らない。結局は自宅で正月を迎えた。今年もお正月がやってくる。旅立つあてはない。
改装を終えたこの部屋は、二人の面影は残っていない。新たな門出には好都合だけども、無機質に積み上げられた段ボールと真新しいフローリングが真冬の冷酷さをよりいっそう際立たせる。テレビのない大みそか、インターネットのラジオから流れる紅白の唄声しか聞こえない部屋。演歌が似合いすぎる。
あれから1年、まだ開封されていない段ボールの山と少しほこりのたまったフローリング以外は、なにも変わっていない。また独りのお正月がやってくる。
妻のお雑煮が好きだった。
どうにか記憶をたどって同じようなものをつくって食べた。
自分でつくるしかない。何もかも。
クリスマスよりもお正月の方が想い出が多い。だからつらい。
日本のお正月が好き。だから、つらい。