意気込みを言わされる空気
チャレンジングなことに対して、「やってみなきゃ分からない」とは言えない空気。
「絶対にできます!」と宣言しないと年配者は納得しない。ましてそれがスポンサーだったら殊更に。それが日本という国の空気。
その昔スイマーだった頃、OB連中や上司の前では大きなことばかり言ってた。言わざるを得なかった。だって、それが自分の目標だし、求められている成果だし、気持ちだけでも前向きにならないと話にならないから。そういう空気だから。
まるで敗戦間近の日本軍みたい。いま思えばとてもアホらしい。
上長に「やってみなければ分かりません」で納得してもらえる空気は日本にはない。だからみんな「できます!」と自信満々に言う。自信がなくてもそう演技する。
一方、上長から「やればできることに人生の貴重な時間を使うのって無駄じゃない?」と冷や水を浴びせられる場合も。なんでそんなこと言われるのか、その理由は「悔しがらせたい」から。「それが成長に繋がるから」。
は?
若者を鼓舞させたい気持ちは理解できます。悔しいという感情が成長に繋がるというのも分かります。でもね、もう悔しいだけでは勝てないんですよ、これからは。だからいま「ゆるく」が世の中に受け入れられているんでしょ。
悔しいという感情なんて、特に子供には、わざわざ教えなくてもいいですよ。そんなもん、スポーツでも芸術でも勉強でも、勝負の世界にいたら嫌でも勝手に思い知らされますから。
大人が「悔しがる行為」を是とすると、子供は「悔しがる演技」を覚えてしまいますよ(高校球児みたいに)。そんなふうになっちゃったらもう「楽しむ」ことはできませんし、もう一生勝てません。
試合前のインタビューで意気込みやらを訊くの、ほんと無意味。選手が「さあ、やってみないと分かりません」なんて言った日にゃあ国民総出でフルボッコ。「勝ちます!」って答えれば安心する。バカみたい。
もうさあ、いちいち意気込みなんて訊かなくていいじゃん。何を言わせたいのさ?
結局は大人の自己満足でしょ。しかも時代遅れの大人の。
若者が「社会の為」とか「誰かの役に立ちたい」とか言うのも気持ち悪い。
若者にそんなことを言わさせる空気、重いって。
これから若者の座右の銘は「焼肉定食」以外禁止。