パスポート更新
パスポートを更新した。前のに引き続き、今回も5年用のにした。
初めて自分専用のパスポートをつくったのは18歳の時だったかな。その時はまだ10年用というのがなかったので、5年用でもみな赤いパスポート。
その後、10年用ができて、その時の更新も赤いパスポートにした。私のなかでパスポートのイメージは「赤」って決まったので、「紺」のパスポートはありえなかった。
初めてパスポートをつくったのが6歳の時(親と共同)だったので、同級生の誰よりも早くパスポートをもっていたという自負というか、へんなこだわりがあったせいと思う。日本のパスポートは赤いの以外は認めねえ!くらいのいきおいだった。
でも前回、初めて「紺」のパスポートをつくった。苦渋の決断だった。
赤いパスポートしか認めねえとまで豪語していたにもかかわらず。
己の信念を曲げてまで紺のパスポートにした理由。それは、
「太った」から。
その前のパスポートの写真は20代前半の時。そこから10年後、あまりの激太りに、信念はあっさり曲がった。
「こんな激太った写真を10年間も使うなんてありえねえ」と。
5年後はまた昔のようにスリムになって、そしたら赤いパスポートに戻そう。なんなら、1年で痩せて新たにつくりなおそう。
紺色のパスポートは仮のパスポートとして自分を納得させた。
そして5年経った。
で、今回もパスポートは紺色。理由はかんたん。
「更に太った」から。
そりゃ、この1年で20kgも太りましたよ。ええ。でもね、どうにか太って見えないように気をつかったんですよ。ええ。写真を撮る時に必ず「あごを引いて」って言われるんですよ。で、あごを引くと首の肉が盛り上がって顔と同化して顔が50%巨大化するんですよ。で、私は練習しましたよ、鏡の前で。猫背になって首を突き出したりとかして、どうにか巨顔にみえないよう練習しましたよ。でもね、もうそんなくらいじゃどうにもごまかせなかたんですよ!!!
失礼、ちょっと取り乱してしまった。
新しく出来上がったパスポート。さっそく写真を見比べる。
5年前よりも太ってはいるが、どうにか同じ程度で映っていると期待した。
「・・・・」
明らかに肥大化していた。
もうそこに映るのはかつての自分ではない。もうマツコ・デラックスにしか見えない。
溜息をつきながら、さらに写真を見比べる。ん?あれ??
「おでこの面積、広がってね?」
「!!!」
うすうす感づいてはいたが、やはり、うすうすになっていた。頭が。
もう太った落武者にしかみえない。落武者デラックス。
5年という歳月は恐ろしい。
写真は残酷だ。
傷心のまま、映画「ファミリー・ツリー」を観る。
想い出がたくさんつまったハナレイの景色と、自分よりはるかに年上のジョージ・クルーニーのふさふさの髪の毛に、泣けた。