八雲の国から末広がり

旧八祐会ブログ

ブルーカラー

5月27日の Chikirin氏の

「日本から工場がなくなると雇用が確保できない」とか言う人って、自分の子供や孫を工場で働かせたい、って思ってるのかな。

というツイートを中心とした場外論争をうけて、私の意見を少々述べたいと思います。

 

ええと、まず、この一連のツイートは差別発言と捉えられても仕方ないでしょう。ご本人はdisった自覚はないでしょうし、言葉遊びのつもりかも知りませんが、これはちょっとアウトな気がしますね。工場で働く人に対して理解やリスペクトがあったらこういう物言いはしないと思います。

 

私自身は、いわゆる「工場」ではたらくのは難しいです。というのも、昔アルバイトで「流れ作業」の仕事をしたことがありますが、うまくできずに長続きしませんでした。作業場(機械)は各自にひとつ割り当てられての作業でしたので他者の手を止めてしまうことはありませんでしたが、しばし作業が間に合わずに機械を止めたりしたため生産量が他者よりも著しく少なかったです。慣れればうまくできるのかと思いましたが、いっこうに上達せず、どうも私にはセンスがないと悟り数か月で辞めました。手先が不器用すぎる。

その時はじめて、職業には歴然とした向き不向きがあることを知りました。

そして今は、「誰にでもできる」という仕事なんてないとも思っています。

 

私はいま、手先の器用さを必要とせず、また肉体的にもきつい仕事ではありません。いまの仕事は私にとっては楽(=スムーズ/向いてる)な仕事で、好きです。

でも私にとっては楽ですが、この仕事(気学≒コンサル)がだれにとっても楽な仕事とは思いません。向き不向きは当然にあるでしょう。仕事柄「言葉(文章)」の影響力はとても大きいので、たった一言の言葉(文章)を紡ぎ出すのにものすごくエネルギーを使いますし、一行の文に丸1日、時には何日も悩み苦しむこともあります。締め切り間近は特に厳しい。

 

何ごとも人それぞれと考えると、いわゆる「3K」の仕事も、私にとっては不向きだが、それが得意の人もいるでしょう。職業経験がそれ1つしか知らなくても、少なくとも5年以上続けられてるならば、適職といっていいでしょう。 

妻の入院で看護師のお仕事を間近でみておりましたが、いやあ、ハンパない。精神的にも肉体的にも、ものすごくきつい仕事です。あの仕事を間近でみた誰もが「自分にはむりだ」と思うでしょうし、心から尊敬するでしょう。※2

看護師の数はいま、どの病院もまったく足りていません。だから殊更きつさに拍車がかかってます。で、人が足りないからと東南アジアなどから働き手を呼びましたが、大半が長続きせずに帰国していると、最近ニュースになってましたね。そりゃ当然でしょう。この仕事は「高潔」で「タフ」でないとできません。そして日本人にはその資質が備わってると思います。

 

かつて日本のお家芸だった「ものづくり」も、高潔だからこそ世界トップにまで躍り出たんでしょう。「金儲けだけ」を考えてたら世界を席巻するのは無理だったでしょうよ。それはどんな時代になろうとも忘れてはいけませんし、むしろこれからの時代だからこそ高潔さが強く求められると思います。そしてそれは日本人にとって大きなアドバンテージだとも思います。

 

「日本から工場がなくなる」ことは、私もいずれそうなるかと思います。でも、だからといって「日本人が工場からいなくなる」とは思っていません。以前に、いつか「海外移民」の時代が来ると述べましたが、その場合には「工場ごと海外移民」するのではとも予想しております。

「made in Japan」という強いブランドを、今度は「made in Japanese」として売り出せば、また日本の「ものづくり」が世界を席巻できるのではと期待してます。※1

そうなった場合、当然に現地の通貨レベルで働くから「手取り」は今よりも低くなると思うけども、その分、物価も安いから「暮らしの質」は日本にいる時と同等か、景気によっては高くなる気がします。

予想される反論として「日本以外の国では電気や水まわりが不便」という意見もあるでしょう。が、いまや日本は原発事故で水も土も汚染されてしまったわけで、それに電気だってすでにままならない状態でしょう。日本の真夏に節電(クーラーを消そう)だなんて正気の沙汰とは思えない。もうすでに水も電気も日本の優位性はなくなっているのではないでしょうか。

それに、これまで日本政府は諸外国にお金を景気よくばらまきましたので、そろそろ移民しやすい環境が整いつつあるのではとも思います。

 

Chikirin氏は「お金」に関すること、特に「(短期的な)金儲け」に関することは頭いいと思います。でもねえ、この発言は頭わるい(浅はか)と思う。「人は経験したことしか分からない」から、こうした職業差別ともとれる発言を平気でできるのでしょうけど。でももうちょっと思慮深くてもいい気がする。「自分のアタマで考えよう」という本の著者なら尚のこと。※3

 

 ※1、「made by Japanese」なのかな? とにかく「日本人が作りました」ってこと。英語苦手すぎる。。。 

※2、患者の家族など、大切な人の死に直面している者の必死のクレームはそうとうに堪えるものと思いますし(私も何度もクレームしました)、「生きたい」と願いながら死にゆく者をお世話し続けることの精神的消耗は想像を絶します。他国の医療現場は知りませんが、日本人看護師の資質は世界トップレベルと思います。 

※3、こういう人のことを「残念な人」っていうのかな?

ちなみにChikirin氏は七赤金性(1966年生まれ)と予想する。もしくは月盤が七赤金性かな。七赤さんは、往々にして不用意な発言でいらぬ敵をつくります。口は災いのもとです。