チョコレート事件(NRT→JFK JALファーストクラス搭乗記)
某マンガ家が、ベルトサインが点灯して着陸態勢中の機内で大声を張り上げて暴れまわったとのこと。それを公表し、あろうことかJALは彼女の主張をへらへら聞いているという始末。ネット内での批判は騒ぎを起こした本人に集中しているようですが、私としてはこういう危険人物を野放しにしているJALに対して憤りを感じます。これ、場合によっては目的地にちゃんと着かなくなるケースですので、こういう輩は今後2度と搭乗させないでいただきたいと、強く願います。
(参照:リンク先は、この顛末を慇懃無礼に諫めるやまもと氏のブログ)
で、私も先日のJALでの出来事を少し記します。その名も「チョコレート事件」。
12時間半のフライトのエンディングが近づいた時、担当の中で1番偉いCAさんがチョコレートを持ってご挨拶に来てくれました。これはジャン=ポール・エヴァン作のチョコで、「さあ今から」だか「さあこれから」だか、JALの新しい旅立ちを願って作られたうんたらかんたら…みたいなことを言って渡してくれた。
物を頂いて嫌な気分になる者はいない。写真を撮って、いつ食べようかな等々と考えていると、再び先ほどのCAさん。なんか、苦虫噛みつぶしているんだけど、なにごと?!
「申し訳ございません…」
まわりくどくなんか言ってる。お前そのチョコさっき機内で食ったろ的なことを。
ええ、寝起きにコーヒーいただいた時に、若いCAさんがこのチョコくれましたよ。
「申し訳ございませんが…」
もしかして、チョコ返せって言ってるの?へ?まじで?
「返せ」という言葉を発する前に察しろよデブ的なプレッシャーに負けて、そそくさとチョコを差し出す私。万引きばれちゃったじいさんの気分。
チョコが無事に戻ってきて気が緩んだのか、更に一層饒舌になるCAさん。ついポロっと「おひとり様おひとつなんです」って暴露しちゃった。
この瞬間、これまで12時間あまりのラグジュアリーな気分が、すべて消え去った。
たかがチョコ1個。されどそのチョコ1個で、夢の空間はエコノミーへと変わった。
この他にも、気になる点はいくつかあった。が、このチョコ事件が極めつけだった。
東京~ニューヨーク間のファーストクラスのお値段って200万円ですよ!とんでもない値段ですよ200万円って!それをですよ、往復24時間あまりで使っちゃうんですから、とんでもない話ですよね。そんなとんでも空間において「チョコはひとり1個まで」ですって?なにケチくさい話しちゃってんのさ。だったらいらねえよ、そんなチョコ。
これ、CAさんに憤っているのでは勿論ありません。むしろ気の毒にさえ思っています。チョコ返せって言いに来た時、CAさんも相当に屈辱だったと思います。
200万円分のサービスを、夢の空間を提供しようと、現場は懸命です。
その思いをぶち壊してるのが、現場を知らない会議室の奴らです。
ホームページに載ってる部分というのは、それはそれはご立派でした。シートも予想以上に広かったし、食事も美味しかったし、飲みもののチョイスもとても素晴らしかった。コーヒーのマグカップは「ユニバーサルデザイン」とかで、これがまた手に馴染んで「さすがフラッグキャリア」と思いました。
が、ホームページにない部分での手抜き感が目にあまりました。トイレのしょぼさやパジャマ事件など、これでフラッグキャリア?!というありさま。(パジャマの件は事件というほどではなかったのですが、ちょっと気になったことがありました。別機会にあらためて。)
どこのバカだよ、「チョコは1個までとする!キリッ」って会議で決めたやつは。
こんなところに私は200万円なんて大金、たとえ宝くじが当たっても絶対に自腹は切らんよ。再び乗るなら今回と同様にマイレージでしか乗らない。だいたい、ほかの会社はもっと値段が安い。日系は高すぎる。
そういえばこの会社って、金払わん奴をばんばん乗せてたから潰れたって噂もあったよね。これはマイレージ客のことでなく、どっかのお偉いさんとか、どっかのお偉いさんとか、どっかのお偉いさんの話。一般人の私には分からない世界貴族さまの話。
会議室の連中はそんなんばっか相手にしているから、ちゃんと自腹切る人達が去っていったんでしょうに。まったく。
3つの窓いっぱいに広がるオーロラを観た時には、200万円払っても惜しくないって思ったんだけどなあ。このチョコのおかげで目が覚めました。ありがとうございます。